着ぐるみ小説
第1話 サークル室の初密着
五反田の夜は、ネオンが雨に滲んで妖しく光っていた。
大学生活にどこか物足りなさを感じていたりさは、黒髪のセミロングを軽く揺らしながら、路地裏にひっそりと佇むレンガ造りの古い洋館のような建物に足を踏み入れた。外観はレトロで趣があり、まるで秘密の社交場を思わせる佇まいだった。
3階の奥にある一室のドアを開けると、ふわっと柔らかい布の匂いと、甘い吐息が混じった空気がりさを包んだ。
「わあ……」
そこは、まるで夢と欲望が溶け合った空間だった。
部屋の中央では、淡いピンクのうさぎ着ぐるみを着た女の子が、大きな茶色のくま着ぐるみの男に背中から優しく抱きつかれている。ふわふわの生地越しに、手が胸の膨らみを包み込み、太ももをゆっくりと撫で上げている。二人とも小さく笑いながら、恥ずかしそうに身をよじっていた。
他にも、パンダや白うさぎの着ぐるみを着たメンバーたちが、ソファやクッションの上でのんびりと触れ合っていた。
すべてが柔らかく、すべてが隠されている。それがたまらなく魅力的だった。
りさは胸がざわついた。
ドールマスクや着ぐるみが好きで、ずっとこのサークルの存在を知っていた。でも実際に来てみると、想像以上に淫靡で、甘い空気に心臓が跳ね上がる。
「初めてだよね? りさちゃん」
サークルの先輩の女の子が、優しく声をかけてきた。
りさは頷きながらも、頰が熱くなるのを感じた。
「着ぐるみ……好きなんだよね?」
「はい……大好きです」
りさは少し照れながら、素直に答えた。戸惑いはある。でも、それ以上に胸の奥が嬉しさで震えていた。ようやく、自分の好きなものを隠さずにいられる場所に来られたのだ。
「じゃあ、今日は薄ピンクのうさぎ、どう? りさちゃんの黒髪にすごく似合いそう」
先輩に手を引かれ、りさは着替えスペースへ。
長身細身の体に、ふわふわの薄ピンクのうさぎ着ぐるみがゆっくりと被せられていく。168cmのスラリとしたプロポーションが、着ぐるみの中でも綺麗なラインを描いた。耳がぴょんと立ち、大きな丸い目が愛らしい。
鏡の前に立ったりさは、思わず小さく息を飲んだ。
清楚な美女の自分が、ふわふわの着ぐるみに包まれている。なんだか不思議で、なんだか興奮した。
そのとき、部屋の入り口から一人のくま着ぐるみが近づいてきた。
「りさ……先輩」
低めで優しい声。
着ぐるみの頭を少し傾げて立っているのは、後輩の山田くんだった。
りさは以前から、密かに彼のことが気になっていた。サークルで何度か目が合ったときの、穏やかで少し熱を帯びた視線を覚えていた。
山田くんは大きな茶色いくまの着ぐるみを着て、ゆっくりとりさに近づいてくる。
ふわふわの腕が、りさの腰にそっと回された。
「初めてだから……優しくするね」
耳元で囁かれると、着ぐるみの生地越しでもその息遣いが伝わってくるようだった。
最初はぎこちなかった。
山田くんの大きな手が、うさぎ着ぐるみの背中を優しく撫で、徐々に腰を下り、お尻の丸みを包み込むように触れてくる。
りさはビクッと肩を震わせたが、逃げなかった。むしろ、ふわふわの感触と、隠された指の感触に体が熱くなっていく。
「ん……」
小さく声が漏れる。
山田くんの指が、今度は胸の膨らみを下から優しく持ち上げるように撫でた。分厚い着ぐるみ越しでも、りさの形の良い胸の感触が伝わってくるのか、彼の息が少し荒くなった。
部屋の明かりが少し落とされ、他のメンバーたちの笑い声が遠のいていく。
やがて、二人は自然とサークル室の隅にある大きなクッションの山へ移動した。
周りから少し隠れる位置。二人きりになったような、でもまだ誰かに見られるかもしれないスリルがある場所。
山田くんが、くまの頭を少しずらして、うさぎの頭に自分の顔を近づけた。
「りさ先輩……いい?」
りさは、着ぐるみの中で頰を赤らめながら小さく頷いた。
次の瞬間、ふわふわのうさぎの口元とくまの口元が重なった。
着ぐるみを着たままの、初めてのディープキス。
生地越しに伝わる熱。
山田くんの唇の柔らかさと、荒くなった息遣い。
胸の鼓動が、ふわふわの布を通して直接響き合っている気がした。
りさの体は、じんわりと火照り、太ももの奥が甘く疼き始めた。
清楚で長い黒髪を着ぐるみの中に隠した長身の美女は、今日、この瞬間、自分の新しい欲望が静かに目覚めるのを感じていた。
着ぐるみの奥で、りさの指が山田くんの背中にそっと絡みつく。
「もっと……触ってほしい」
小さな声で囁いた瞬間、山田くんの腕が、りさの体をより強く抱き寄せた。
五反田の夜は、まだ始まったばかりだった。
第1話はここまでです。
